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VERTEX
第3章 帰りたくない…
車が横浜に着いた。
涼ちゃんが撮影用に用意されたスタジオに向かう。
駐車場に車を停めてスタジオの受け付けに行く。
この仕事はVERTEXから来た仕事。
VERTEXのスポンサーの企業モデルなどをするのも選手が引き受ける。
そのモデル料はファイトマネーとは別にして涼ちゃんの口座に振り込まれる。
ファイトマネーの場合はジムに振り込まれる。
ジムは必要経費を差し引いて選手達にファイトマネーを支払う。
会長さんは出来るだけ全額に近い形で涼ちゃんや霧島さんに支払ってくれる人だけどジムの使用料や遠征する経費、セコンドのお給料などをファイトマネーから出している形にした方が税金対策になるらしい。
2回くらいのファイトマネーでうちのお父さんや涼ちゃんのお父さんの1年分のお給料を貰っていると涼ちゃんのお父さんが言っていた。
だから多分、このモデル料も凄い金額なんだろうと思いながら涼ちゃんについて行く。
受け付けで涼ちゃんが首から掛けるパスを受け取ると私の首に掛けてくれる。
これが無いと平凡な女子高生の私はスタジオから追い出されてしまう。
撮影スタジオに入るとすぐに壁際に居る静香さんを見つけた。
「静香さんと居ろよ。」
私の頭を撫でて涼ちゃんが立ち去った。
涼ちゃんに言われた通りに静香さんの傍に行く。
「おはようございます。」
「理梨ちゃん、おはよう…。久しぶりだね。」
優しい笑顔を見せてくれる静香さんにホッとする。
撮影現場はなんだかバタバタとしてて殺気立つ雰囲気があるから苦手だと思う。
メイクさんやスタイリストさん、お洒落な人達がバタバタと走り回るスタジオでは女子高生は邪魔な存在にしかならない。