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第22章 挨拶…



「涼ちゃん…、あのね…。」


言おうとした唇を涼ちゃんが人差し指で軽く押さえて来る。


「シーッ…、大丈夫、理梨…。」


ただ涼ちゃんは私を見て笑っている。

何が大丈夫なの?

何故、大丈夫とか言えるの?

涼ちゃんが理解出来ないと感じる。


「ダメ…、だよ。涼ちゃん…、会長さんの言う事を聞かなくちゃ。」

「聞かない。」

「聞いてよ…、もう、いいんだから!涼ちゃんはもう充分にカッコいいよ。私はもう満足だから…、だから、もう戦わなくていいし、涼ちゃんと結婚もするよ。」


涙が溢れ出す。

カッコいい男なんか必要ないと思った。

カッコよくても涼ちゃんを失えば意味がないという事実がはっきりと馬鹿な私にのしかかる。


「ごめんな…、今回だけは理梨の言う事を聞いてやれない。」


涼ちゃんが私からゆっくりと手を離す。


「涼ちゃん…!?」


私の我儘の全てを聞いてくれた涼ちゃん…。

その涼ちゃんから初めて聞けないと言われるショックに身体が強ばった。


「涼ちゃん…!?」


もう一度、確認をするように涼ちゃんに縋り付く。

いつものように私の為だと言って抱きしめてくれる涼ちゃんを期待する。


「ごめん…、今ここで逃げたら、俺…、また泣き虫のダメな男に戻っちまう。だから誰にも負けない男になりたいんだ。理梨が泣いてもちゃんと理梨を守れる男になりたいんだ。」


涼ちゃんは穏やかな顔でそう言うだけで私の願いを聞き入れる気はないと拒絶する。

この人は涼ちゃんではなくRYOJIなのだと今更に理解をして何になる?

私がそこまで追い込んだくせに私にはRYOJIが理解を出来ないとこの苦しい恋から逃げたくなる。


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