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VERTEX
第22章 挨拶…
ホテルに着くとミケは真っ直ぐにレストランへと向かうから私はミケに着いて行く。
オーダーは勝手にミケが決めてしまい2人では食べ切れないほどの料理がテーブルに並べられる。
「誰がこんなに食べるの?」
「足りない方が食事は楽しくないですよ?貧しい食事は人をますます貧しくします。」
「その考え方は贅沢だよ…。」
「それは違います。しっかりと食べるからしっかりと働ける。豊かな食事は人を豊かにするのです。無駄な食事は贅沢ですけどね。」
ミケに言わせれば無理な減量やストイックな生活の方が贅沢なんだとなるらしい。
食べられる時に食べる。
それが基本なんだとミケが言う。
「日本人はなんでも我慢をして無理をする人が多いです。理梨だって…、もっと我儘でいいんです。」
「私は充分に我儘だよ?」
「Mr.RYOJIの言いなりになっているのは我儘ですか?」
ミケが眉を顰めて真っ直ぐに私を見る。
言いなり?
私の言いなりだったのは涼ちゃんの方だったはず…。
私は我儘ばかりを涼ちゃんに言うだけで、その我儘が通らないと泣きたくなるだけの我儘な女の子だ。
「Mr.RYOJIは自分でVERTEXの頂点に立つと決めたのです。それは理梨の為ではなく自分自身の為なのです。だから決して理梨は我儘なんかじゃありません。」
「自分の為?」
「理梨を欲しいからという気持ちは自分の為ではありませんか?そこに理梨の気持ちは入っていない。つまりは理梨だけが彼の我儘に我慢をしているようにしか見えないのです。」
「私の気持ち…。」
私はどうしたいのだろう?
涼ちゃんを失うのだけは嫌だと思う。
なのにVERTEXの頂点を目指す涼ちゃんが嫌だとも感じてしまう。