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VERTEX
第3章 帰りたくない…



今からが涼ちゃんを遠くに感じる時間…。

こういう撮影は何度も付き合っている。

その帰りは必ず私とデートをしてくれて私との距離を縮めてくれる。

先に準備が出来た霧島さんが撮影用のバックスクリーンの前に立った。


「カッコいい…。」


思わず本音が漏れた。

スーツを来て髪を軽くオールバックにした霧島さんはどこから見てもカッコいいだけの男だった。


「そうかな?」


照れたように静香さんが笑う。


「間違いなくカッコいいですよ。」


力説してしまう。


「でも、涼二君だって…。」


静香さんが指を指す。

その向こうにはスーツを着た涼ちゃんが居る。

メイクさんにメイクをされている最中。

今日は紳士服メーカーの仕事。

涼ちゃんや霧島さんが着ているスーツの宣伝用ポスターを作る撮影。

自分の身体にフィットして、尚且つ動き易いをアピールする仕事だと静香さんが教えてくれる。

涼ちゃんの髪はほとんどそのまま…。

霧島さんは真面目な感じのサラリーマンだとすれば涼ちゃんは金のメッシュが入っていて少しネクタイを緩めて不良っぽいサラリーマンに仕上がっている。


「やっぱり霧島さんの方がカッコいいですよ。」

「そんな事はないと思う。涼二君…、また身体が一回りは大きくなったのね。」


静香さんが私を羨ましそうに見た。

霧島さんは少し減量が必要だからだ。

逆に涼ちゃんは全く減量が必要ないからとVERTEXに向けて筋肉を増やして身体を鍛え直した。

奥さんである静香さんにはその減量が辛いと言う。

折角、霧島さんの為にご飯を作っても減量中は霧島さんは食べてくれないからだ。


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