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VERTEX
第23章 敗北…

学校では地味な優等生しか見せていない。
こんなイベントに男絡みで参加しているとバレれば私の大学推薦は取り消されてもおかしくはない。
それでも咲良ちゃんを騙すような事はしたくない。
別に咲良ちゃんが友達だからとかいう気持ちからではなかった。
涼ちゃんが私と堂々と歩きたいと願うように私も涼ちゃんと堂々として歩いて行きたい。
「涼ちゃんは…、私の婚約者だからよ。」
咲良ちゃんに涼ちゃんがくれた指輪を付けた左手を見せつけた。
「理梨ちゃんが…?」
「うん、私と涼ちゃんは幼なじみ…、両親共に同じ会社に務めてて、私と涼ちゃんの結婚を認めてくれているという関係なの。だから短大を卒業すれば私は涼ちゃんと結婚をする。」
咲良ちゃんが驚いた顔をする。
「ごめんね…、そういう事だから、もう涼ちゃんのところに行かなくちゃ…。」
咲良ちゃんには言うべき事は言った。
「ねぇ、理梨ちゃん…。」
咲良ちゃんが私を呼び止める。
「何?」
「それって…、理梨ちゃんの妄想じゃないの?」
「はぁ?」
「だって…、私からVERTEX側に確認をしましたもの。VERTEXはRYOJIさんにはそのような存在は居ないと言うお返事でしたから…。」
VERTEXの広報が私の存在を否定する。
それは当たり前の事。
涼ちゃんはまだ頂点ではないのだから…。
涼ちゃんの人気に影響をする私の存在がVERTEXには邪魔になる。
だからこそ涼ちゃんは無茶をしてでも圧倒的な強さを観客に見せつける必要があった。
「VERTEXは関係ないわ。涼ちゃんが私を選んだ事実は変わらない。この先もその事実は絶対に変わらないの。その上でVERTEXが涼ちゃんを頂点として望むならばVERTEXは私の存在を認める事になるだけよ。」
頂点になってもVERTEXが私の存在を否定するならば、涼ちゃんはVERTEXを許さない。
あの人はそういう人だから私はあの人について行くだけだと思った。

