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第23章 敗北…



目を丸くして驚いた顔をする咲良ちゃんを残して私は裏方へと向かった。

裏通路への入口…。

もうすぐ霧島さんの試合が始まる。

急がなければ…。

涼ちゃんの控え室への道なんかわからない。

だって私は迷子になる。

私は馬鹿で甘ったれで王子様が居なければすぐに迷子になる我儘姫…。

それでも私から王子様を奪おうとする魔女と戦う強さが私には必要だ。

人に頼ってばかりのお姫様はおしまい。

迷子になっても私が迷わずに真っ直ぐ進む事が出来れば必ず私はあの人のところに辿り着く。

魔女なんか怖くない。

何度も自分にそう言い聞かせてラビリンスの通路を歩き出す。

今日に限って勇気君の姿がない。

だけど、勇気君にはもう甘えたくない自分が居る。


「理梨…。」


通路の角を右に曲がろうとした私の後ろから私が一番よく知っている声がする。

ゆっくりと振り返る。

頭にはもう包帯を巻いた涼ちゃんが居る。


「涼ちゃん…?」


まだ戦った時の姿のままで上半身が裸のままだ。


「そっちに行くと迷子になるぞ。」


穏やかな笑顔を私に向けている。


「涼ちゃん!」


目頭が熱くなって涼ちゃんの姿がボヤけてしまう。


「うわっ…、泣くな!」


涼ちゃんが慌てて私の手を握って歩き出す。

私が進もうとした反対側の通路の先に涼ちゃんの控え室があった。


「なんで…、わかったの?」

「今朝、勇気が言いに来た。俺の試合が終わったら理梨が絶対に来るから、そこの通路で反対側に行かないようにしてやれって…。」


涼ちゃんが口を尖らせる。


「理梨…、勇気にどんだけ迷子を助けて貰ったんだ?」

「数え切れないくらい…、だから涼ちゃんがお礼を言っておいてね。」


涼ちゃんの頭から涼ちゃんのTシャツを被せた。


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