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VERTEX
第3章 帰りたくない…



来月には各階級でのトーナメントが始まる。

霧島さんが減量に入るから今日が最後の外食だと静香さんが言う。

年末に向けて誰もがそのトーナメントを勝ち抜くのに必死になる日々が始まる。

決勝ではテレビ放映されて格闘家の頂点として名前が売り出される。

今のVERTEXの頂点は霧島さん。

ファン投票の人気No.1の霧島さんは絶対王者の立場に居る人だから挑戦者も後を絶たない。

霧島さんを倒せば頂点が掴める。

それを目標にトーナメントを勝ち上がって来る選手と霧島さんは戦い続ける事になる。

チャンピオンはシードの扱いではあるけど、やはりある程度からトーナメントに参戦する。

今の霧島さんに継ぐポジションに居るのが涼ちゃんの存在。

無敗のファイターとしてVERTEX人気も2番手に居る。

霧島さんはVERTEX以前のプロ記録に1敗の記録があるから無敗の王者ではない。

その分、完全無敗の涼ちゃんに人気が集まっている部分もある。


「すぐに涼二君が頂点になると思う。」


静香さんは褒め言葉として言ったとわかっている。

でも、その言葉は私には嬉しくない。

頂点になんかなったら涼ちゃんが私の涼ちゃんじゃなくなる気がして不安になる。

涼ちゃんと霧島さんはじゃれ合うようにお互いで軽くパンチを繰り出したり回し蹴りをしながら順調に撮影を進めていた。

静香さんの言う通り…。

一段とカッコいい男になったと思う。

それにVERTEXの頂点とはただチャンピオンになるだけじゃなく、ファンからの人気の高さなども影響をする。

今は頂点として霧島さんのテレビ出演が多い。

今年は涼ちゃんもそのテレビ出演が増えた。

涼ちゃんの人気が霧島さんに追い付くのは時間の問題だと感じる。


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