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VERTEX
第23章 敗北…



霧島さんだけがパワーを使いスタミナの消耗を受けている。

ただでさえ、減量でギリギリのスタミナしかない霧島さんを減量などせずに余裕のスタミナを持つミケが振り回している。

3Rでは、その疲れの差が歴然と出た。

ミケの一方的な攻防に霧島さんの手が出ない。

優雅で大きなミケの回し蹴りが霧島さんの身体にめり込んだ。

霧島さんがリングに膝を付く。

立ち上がろうとした霧島さんをレフリーが止めた。

T.K.O.…。

ミケの圧倒的強さにレフリーが霧島さんが戦うのはもう無理だと判断をした。

試合終了のゴングが鳴る。

新たなチャンピオンが生まれた。


「どう…、なるの?」


声が震えてまともに出ない。

ギュッと涼ちゃんが私の身体を抱きしめる。


「俺か…、ミケの…、どちらかが頂点になる。」


頂点への切符をミケが手に入れた瞬間だった。

後はこの年末までの人気投票の結果次第…。

来年、発表される頂点…。

頂点になればVERTEXの看板ファイターとして常に中心人物としての扱いを受ける事になる。

テレビなどの仕事も倍になる。

涼ちゃんがミケに負けるとは思わない。

涼ちゃんは無敗のファイターだ。

ミケはデビュー当時に負けている。

元々、アメリカではボクサーだったミケ…。

格闘という条件に不慣れなうちは何度か負ける試合を見せているからの12位という結果…。

それに対する涼ちゃんは完全無敗のファイターという看板があったからこそ霧島さんを継ぐ者として早々とそのポジションに収まった。

VERTEXもそのつもりの扱いを涼ちゃんにしている。

問題は多分、私…。

VERTEXとしては涼ちゃんが頂点として不動を確立出来ないうちは私の存在を否定する。


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