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VERTEX
第24章 役立たず…

「やっぱり…、そういう事なんだ。」
嫌な声がする。
「咲良ちゃん…。」
来年度の一番スポンサーであるGグループの社長が今日の打ち上げに来ないはずがない。
咲良ちゃんのお父さんが葛城社長と和美さんに挟まれるようにして何かを話している姿が見える。
「お久しぶりです。RYOJIさん。」
咲良ちゃんは私を無視して涼ちゃんの腕に自分の腕を絡ませる。
涼ちゃんは顔を歪めるだけで何も言わない。
「咲良ちゃん!」
「悪いけど…、葛城社長さんから聞いたの。RYOJIさんの恋人気取りなのは理梨ちゃんだけでVERTEXとしては困ってるって…。」
咲良ちゃんが勝ち誇った顔を私に向ける。
「RYOJIさんが頂点になるにはGグループとのタイアップが必要だって事を理梨ちゃんはちゃんとわかってる?CMやポスター、Gグループが提供するテレビ出演…。GグループはRYOJIさんを全面バックアップする予定だけど…、そこに理梨ちゃんは邪魔なだけって、そろそろ気付くべきよ?」
咲良ちゃんの言葉に言い返せない。
私には何もない。
涼ちゃんを応援する?
平凡な高校生の私の応援だけで涼ちゃんは頂点になんかなれはしない。
私は涼ちゃんに何もしてあげられない女の子。
涼ちゃんに我儘を言うだけの惨めな女の子。
涼ちゃんが魔法をかけてくれないとお城にすらいけない我儘姫…。
「悪いけど…、Gグループのバックアップとか俺には要らない。はっきり言って余計なお世話ってやつだ。」
ゆっくりと涼ちゃんが咲良ちゃんを突き放す。
「だけど頂点になるにはそれが必要ですよ?」
咲良ちゃんが涼ちゃんを引き止めようとする。
「俺はファイターだ。ファイターは誰の助けも借りちゃいけないルールだ。1人で戦えないファイターは絶対にファイターにはなれない。」
呟くように涼ちゃんが言う。

