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VERTEX
第24章 役立たず…



咲良ちゃんが涼ちゃんの言葉の意味がわからないという顔をする。

だけど私にはわかる…。

これは霧島さんの言葉だ。

私から離れようとしない涼ちゃんに霧島さんが言った言葉だ。

リングの上では1人で戦うしかないんだと…。

タレントじゃない。

私の恋人でもない。

RYOJIはあくまでもファイターなんだと涼ちゃんが咲良ちゃんに言っている。

1人で孤独に戦うファイター…。


「だからGグループは要らない。Gグループが宣伝をやりたいならファイターじゃないタレントをVERTEXの中で探せばいい…。」


涼ちゃんが咲良ちゃんを完全に突き放す。

VERTEXには黒田さんのような本物のタレントさんが居る。

Gグループの宣伝だけなら、そういう人を使えばいいと涼ちゃんが言う。


「Gグループが求めてるのは頂点です。今のVERTEXの頂点はRYOJIさんでしょ!?」


納得の出来ない咲良ちゃんがまだ涼ちゃんを引き止めようと必死になる。


「違う。俺は理梨の為にファイターになっただけの男だから…。頂点じゃない。」


咲良ちゃんにそれだけを言うと涼ちゃんが私の手を握って打ち上げ会場から出た。

裏口から出て駐車場に停めてある涼ちゃんの車に2人で乗る。


「会長さんに怒られるよ。」


勝手に打ち上げ会場から出て来ちゃった。


「後…、1分…。」


そう言った涼ちゃんが私にキスをする。

ゆっくりと涼ちゃんのキスが離れる。


「あけましておめでとう…。」


涼ちゃんの言葉に時計を見た。

0時のデジタル文字に新年が来た事を教えて貰う。

アリーナの中ではまだ去年のままの人達がたくさん居る。

涼ちゃんはもう去年のチャンピオンになった事はどうでもいいように次の試合しか見ていない。


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