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第24章 役立たず…



この態度に会長さんが更に口を開こうとすると霧島さんや篠原さんが慌てて止める。


「今夜は引き上げましょうよ。涼二じゃないけど皆んな、腹が減ってますし…。」


今夜はホテルには泊まらない。

お正月だからと誰もが真っ直ぐに家に帰りたいという顔をする。

減量をもうする必要のない霧島さんは誰よりも早く帰りたいはず…。


「涼二…、雪が降ってるから運転だけはくれぐれも気を付けろよ。」


会長さんが心配そうに涼ちゃんを見る。

私が免許を持ってれば…。

そんな事を考える。


「理梨を乗せて死んでも事故らねえ。」


相変わらずの涼ちゃんが会長さんに向かってニヤリと笑う。


「涼ちゃん…、真面目にして…。」


さすがに私が涼ちゃんを窘める。


「はーい…、会長、お疲れ様でした。本年もよろしくお願いします。」


涼ちゃんがやっと会長さんに頭を下げる。


「うむ…。理梨ちゃんも年初めは必ず来てくれよ。」


会長さんも苦笑いでそう私に言ってくれる。

ジムは7日まで休み、鏡開きの日に毎年、会長さんがお汁粉をジム生に振舞ってから練習が始まるしきたりになっている。


「会長さんのお汁粉はうちのお母さんも行きます。」


笑顔で会長さんに答えて涼ちゃんの車に乗り込んだ。


「やっぱり…、ホテルに泊まる?」


涼ちゃんに聞いてみる。


「俺としては泊まりたいけど…、正月だからな。理梨をちゃんと連れて帰る。」


車をゆっくりと発進させながら涼ちゃんが言う。

今日からお休み…。

練習はあるけれども3月までは試合もなく、涼ちゃん達ファイターには安息の日々…。

頂点じゃなくても構わない。

涼ちゃんとしばらくはのんびりと出来る時間があるだけで私は幸せだと感じるだけだった。


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