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第26章 身の程知らず…



「手加減は無しですよ。Mr.RYOJIは頂点なのですから…。」


ミケの言葉にゾクリとした。


「涼ちゃんに怪我とかさせたら許さない。」


ミケを睨みつけて私がミケに噛み付いた。


「怪我なんかさせませんよ?練習なのですから…。」


とぼけたように笑うミケに腹が立つ。

ふと、私のセーターの背中を引っ張る小さな手に気がついた。

望ちゃんが赤い顔でもじもじとしている。


「望ちゃん?」

「わお?ミニ理梨ですか?まさか…、理梨の子?」

「従姉妹よ…。望ちゃん…、泣かせたらジムは出禁になるんだからね!」

「キュートな女の子は絶対に泣かせません。それがファイターの仕事です。」


ミケがニヤリとして涼ちゃんを見た。

私が涼ちゃんに泣かされている事でわざわざ嫌味を言っている。

アメリカ人のくせにくだらない日本語だけは上手いんだから…。

ミケに文句を言う前に望ちゃんがまたセーターを引っ張った。


「どうしたの?トイレ?」

「サイン…。」


望ちゃんがミケのサインが欲しいと言う。

見た目だけは金髪で碧眼の絵本に出て来る王子様なミケに望ちゃんはサインが欲しいと強請ってる。


「ミケ…、望ちゃんにサインをあげてくれる?」

「理梨の頼みならば喜んで…。」


ミケの言葉に本当に望ちゃんが嬉しそうな顔をする。

ミケが悪い人じゃない事はわかってる。

だけど霧島さんを倒した人だから…。

ジムの誰もがミケにはキツい目付きしか向けようとしない…。

涼ちゃんと霧島さん、会長さんと篠原さんだけがミケとは普通に接している。

普段はとても温和な加藤さんですら警戒をしてミケには近寄らない。


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