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第27章 負けたくない…



平然とリングから降りてロードに向かう涼ちゃんにミケが驚愕の顔をする。


「Mr.RYOJIはモンスターですか?」


嘆くミケを霧島さんがクスクスと笑った。


「あのスピードとスタミナ…、更に階級を超えたパワーを持ってるのが涼二だ。テクニックはちょっと見せればすぐに吸収する素直な頭と身体。それが涼二という頂点だとミカエルは理解をした方がいい。」


霧島さんの言葉にミケが厳しい顔をする。


「本物の天才って事ですか?」

「いや、涼二は馬鹿だよ。」


霧島さんがそう言うと会長さんや加藤さんが笑う。

間違いなく涼ちゃんは馬鹿だ。

ただ余計な事をあれこれは考えずに相手の動きを身体に覚えさせるのが早いだけ…。


「理梨…、狡いです。」


何故かミケが私に文句を言う。


「なんで私が狡いのよ?」

「Mr.RYOJIの応援ばかりしている。彼はあんなに強いのに…。」


ミケが涼ちゃんを強いと認めた事に少し驚いた。


「ならミケは頂点を諦めるの?」

「いいえ、理梨も頂点も諦めません。未来は誰にもわからないのですから…。」

「私がミケと一緒にアメリカに行くという未来は絶対にないわよ。」

「それでも僕は諦めるのは嫌いです。」


ミケも涼ちゃんと同じように真っ直ぐに上しか見ていない人なんだと思った。

ロードから戻った涼ちゃんが篠原さんとリングに上がりミット打ちを始めるとミケがますます嫌な顔をして私に話し掛けて来る。


「Mr.RYOJIは疲れるという言葉を知らないのですか?」

「疲れるよ。特に精神的には打たれ弱い人だもん。」

「What?」


ここに来て何故、わざわざ英語になる?

私の方がミケに聞きたくなる。


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