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VERTEX
第27章 負けたくない…
涼ちゃんにだけ笑顔を向ける。
「帰ろう…。」
私が差し出した手を涼ちゃんが握ってくれる。
「シャワーを済ませて来る。」
ご機嫌になる涼ちゃんにホッとする。
ミケが言うように私は涼ちゃんに怯えている。
少しでも涼ちゃんの機嫌が悪くなると不安になる。
それは息が詰まる関係になるのかもしれない。
それでも涼ちゃんの傍に居たいと思う。
私が無理にでも笑顔を向ければ涼ちゃんも笑ってくれるのだから…。
辛い練習を乗り越える涼ちゃんに比べれば、その程度の事くらい我慢が出来る。
シャワーを済ませた涼ちゃんの手を握って日が暮れた家路を歩く。
「ミケにも余裕だね。」
「余裕なんかないよ。ミケさんが本気を出したら確実に俺が負ける。間違いなく霧島さんよりも強い人だとわかった。」
「嘘っ!?」
「マジ…、アメリカでボクサーをやってたのは伊達じゃないって事だ。」
涼ちゃんが泣きそうな顔をする。
負けたら私に捨てられると思っている。
単純で馬鹿な人だから…。
「それでも涼ちゃんだけが好きだよ。」
負けてもいいよと伝えたい。
「負けない…。負けたらカッコ悪い…。」
涼ちゃんにはそこが譲れないらしい…。
家の前で涼ちゃんがキスをする。
涼ちゃんの家で涼ちゃんにご飯を食べさせてから涼ちゃんの部屋に行く。
涼ちゃんが私にしがみつく。
キスを繰り返して涼ちゃんの手が私のセーターを脱がせて来る。
学校での嫌な思いを忘れたかった。
だから私は涼ちゃんを求める。
涼ちゃんはミケという存在を忘れたかったみたいに私を求めて来る。
涼ちゃんの家だから声を殺す。