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第27章 負けたくない…



「涼ちゃんを愛してる…。だから…、もう…、遠くには行かないで…。」


既に頂点である涼ちゃんにそう願う。


「どこにも行かない。理梨が居なければ全てが意味を失くすから…。」


ギュッと抱きしめてくれる。

今日の涼ちゃんが落ち込んでいるのだとわかる。

ミケと初めて打ち合ってミケに負けている自分に悔しいと感じている。

涼ちゃんと繋がり抱かれているのに涼ちゃんが遠くに感じて少し悲しくなる。

興奮して私を抱く涼ちゃんにはついて行けないと呆れるのに、それが一番涼ちゃんを感じる。

今は静かに私を抱く涼ちゃんがミケと戦う事しか頭にないから私には遠い人だと思う。

静かに私の中で果てた涼ちゃんが静かに私の腕の中で眠りにつく。


「私は…、ミケの次?」


苦笑いをして涼ちゃんにキスをしてから涼ちゃんの部屋を出た。

自分の家でご飯を食べながらお母さんと話をする。


「短大に入学をしたら…、涼ちゃんと2人で暮らしてもいい?」

「そうね…、始めは週末だけとかにしなさい。いきなりはお父さんが悲しむわよ。」


お母さんの言葉に驚いた。

自分がお父さんを傷つけてしまう事なんか全く考えていなかった。


「お母さん…。」


自分の幸せだけを考えると誰かを傷つける。

私は知らないうちに咲良ちゃん達も傷つけたのかもしれないと考える。


「涼ちゃんと居て理梨が幸せなら…、それでいいんだけどね。」


お母さんが目を見開く私に苦笑いをする。

涼ちゃんと少しずつ大人の恋愛をするたびに誰かを傷つけている自分を理解して悲しくなる。

それでも私は涼ちゃんと居たいと願う。

それが身の程知らずで我儘であったとしても涼ちゃんと離れ離れになる方が今の私には怖かった。


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