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第27章 負けたくない…



学校に行くと今日は藤谷さんが1人でいる。


「北川さんは?」


思わず1人で不安そうに怯えた顔をする藤谷さんに声をかけていた。

藤谷さんが不思議そうに私を見る。


「西岡さん達と卒業旅行だよ。私は教習所に通うから行かなかっただけ…。」


ぶっきらぼうに藤谷さんが返事をする。

これ以上は話さない方が良いのかと思い自分の席に着いた。

旅行中なら2、3日は平和だと思う。


「ねぇ、幸村さんがあのRYOJIの婚約者だって、本当に北川さんに言ったの?」


何故か藤谷さんの方から私に聞い来る。

私は私の事実を答える。

涼ちゃんとは幼なじみ…。

その流れで今は婚約までした事実…。


「だけどRYOJIって国崎って女優さんと付き合ってたんでしょ?CMだって…、本物の恋人同士みたいな雰囲気だったじゃない。」

「そのCMの撮影にも私は居たよ。」

「いきなり、そんな事を言われてもちょっと信じられない。北川さんは今度RYOJIとCMに出る予定にしてるって言ってたもの。北川さんの言ってる事の方がまだ信じられるよ。」

「涼ちゃんの事は私の思い込みって話?」

「うん…、そう…。言っちゃ悪いけど地味で優等生な幸村さんがああいう人と婚約してるとか…、想像が出来ないもの。」

「そうだよね。私もそう思う。」


私の言葉にますます藤谷さんが私に対して不思議そうな顔をする。

少し前までは学校で涼ちゃんの事を言われるのが嫌だと避けて来たのは私…。

今更、彼氏ですと自慢をするような態度を取れば鼻について当たり前だとわかっている。


「私は涼ちゃんに釣り合わないよ。それでも涼ちゃんは私の為にまだ上に行こうとしてる。」


自分の寂しさを独り言のように呟いた。


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