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VERTEX
第28章 卒業…



病院に着くとなんとなく涼ちゃんがそわそわとして落ち着かない…。


「こういう病院に…、男が来ても大丈夫なのか?」


産婦人科という女性ばかりの病院で不安そうな仔犬の顔をして私に聞いて来る。


「当たり前でしょ?霧島さんだって…、パパになったんだから来てるよ。」

「俺…、病院って外科しか行った事ねぇもん。」

「基本的に外科に行くな!」

「えーっ?VERTEXでファイターをやってて、それはちょっと無理だぞ。」

「でも、行かないようにしなさい。涼ちゃんのお母さんがまた心配するでしょ!」


犬男を叱りながら静香さんの居る病室に向かう。

霧島さんが有名人だから来客が多い為に個室を用意して貰ったと聞いている。

静香さんの病室の扉をお母さんがノックする。


「どうぞ…。」


照れた笑顔をする霧島さんが出迎えてくれた。


「おめでとうございます。」


涼ちゃんと用意した出産祝いを霧島さんに差し出して病室の中へと踏み込むと壁の棚一面に欄や百合などの凄いお花が飾ってある。

様々なスポンサーさんからやVERTEXの関係者に始まり、テレビ出演などで親しくなったタレントさんからの贈り物らしく鉢植えには見た事のある名前の札が付いている。


「凄い…、お花…。」


10個以上はある鉢植えに目を丸くするとベッドに居た静香さんが


「持って帰ってくれる人を募集中なの。うちじゃ枯らしちゃうだけになるから…。」


と苦笑いをする。


「確かにお花ばかり、こんなにあっても困りますよね?欄とか温室で育てる花だろし。」

「そうよね。しかも今は赤ちゃんが居るから部屋にあまり物を置きたくなくて困ってるの。」


静香さんの隣に小さなベッドを見つけたから覗いてみたら空っぽ…。


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