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VERTEX
第28章 卒業…



そうやって私と涼ちゃんの知らない所で涼ちゃんの顔と名前が勝手に独り歩きを始める。

変装しなければ、もう涼ちゃんとは簡単には歩けない生活になる。

かと言って、涼ちゃんに頂点を降りて欲しいと私が言えばVERTEXや咲良ちゃん達に私の存在を認めて貰えなくなる。


「涼ちゃん…。」

「なぁ…、来週だけどさ…。俺も行っていいか?」


照れたように涼ちゃんが私に聞いて来る。


「どこに?」

「理梨の学校…、卒業式だろ?VERTEXは認めてくれなくとも俺の意思は変わらないって理梨の周りには把握させておきたいんだ。」


咲良ちゃんとのCMの共演を完全に断った涼ちゃんはVERTEXの頂点として私との関係を少しでも公にしたいと言う。


「いいよ…、お父さんもその日は休暇を取ってくれてるから、一緒に行こう。」


私の言葉に涼ちゃんがニンマリと笑う。


「やばい!女子高とかに入れるって興奮する。」

「変態!」

「これは男のロマンだぞ。霧島さんですら女子高なんか入った事ないはずだからな。」

「あるよ…。」

「嘘!?」

「一昨年の文化祭に静香さんを招待したら変装をした霧島さんと来たもん。」

「なんで!?俺は呼ばれてない!」

「涼ちゃんの学校も文化祭だったじゃん。」

「………。」


本当は騒ぎになりたくなくて涼ちゃんを呼べなかっただけの事…。

卒業式ならもう最後だから、堂々と涼ちゃんに来て欲しいと思う。


「涼ちゃん…。」

「ん?」

「んっ…。」


顔を涼ちゃんに向けて上げると照れた笑いをしながらキスをしてくれる。

今も昔も変わらずに私が願う事は全てしてくれる涼ちゃんを愛してると思った。


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