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第28章 卒業…



卒業式の朝…。

胸の辺りがもぞもぞとして目が覚めた。


「理梨…、腹減った。」


犬男が私の胸に顔を埋めている。


「なんで居るの?」

「今朝はおばさんが俺の分も朝飯を作ってくれるって言うから…。」

「マジ!?」

「うん、だから…、理梨は早く顔を洗って学校に行く準備をしろよ。」


そう言いつつも私に犬男がしがみつくから思うように動けない。


「離れろ!」

「着替えさせてやる。」


涼ちゃんが私のパジャマのボタンを外していく。


「止めろ!」

「ブラはパンティーとお揃いのやつか?」


こういう時の犬男はご機嫌で私の言う事なんか全く聞いてくれない。

躾をしなければ一緒に暮らした時に毎朝苦労するかもしれないとため息が出た。

顔を洗い終われば涼ちゃんが私の髪を編み込みにしてくれる。


「懐かしいな。」


お父さんが私の髪を編み込みにする涼ちゃんと私を見て懐かしいそうに言う。

幼稚園の頃、お友達の編み込みを見て同じ髪型にして欲しいと駄々をこねた。

不器用なお母さんにはふわふわの私の髪がなかなか上手く編み込めず、涼ちゃんが必死に練習をしたんだとお父さんが話してくれる。


「そんな理梨がもう卒業かぁ。」


目を細めて私を見るお父さんに未だに卒業をしたら涼ちゃんと一緒に暮らしたいとは言えないまま…。


「すみません…、夕方までには理梨を帰しますから理梨をランチに連れてってもいいですか?」


お父さんに2人だけで卒業祝いをしたいと涼ちゃんが言う。

夜にはおじいちゃんや希君達がうちに来て私の卒業祝いだと宴会騒ぎになる。


「好きなだけ行っておいで…。」


私はもう涼ちゃんのところにお嫁に出した子だと言わんばかりの顔でお父さんが涼ちゃんに許可をした。


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