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第28章 卒業…



穏やかな顔をしたお母さんとずっと私を見つめるお父さんと涼ちゃんとゆっくりと朝ご飯を食べる。


「なんか今日の朝食は豪勢だね?」


いつもはお味噌と残りもの…。

今朝は焼き魚や卵焼きに納豆やサラダと旅館並に豪華な朝ご飯…。


「涼ちゃんが足りないと困るでしょ?」


平然とお母さんが言う。

確かに涼ちゃんは丼鉢でご飯を掻き込みながらおかずをドンドンと平らげている。


「私の卵焼き!」

「おばさんの卵焼きって美味いんだ。」


涼ちゃんがお母さんの卵焼きが好きなんだと思うとお母さんに卵焼きの作り方を聞きたくなる。


「春休みにゆっくりと教えてあげるわよ。」


お母さんが呆れた顔で私を見た。

春休み…。

そう言ってよいのかがわからない。

大学までの準備期間…。

車の免許を取って、涼ちゃんの家族と石垣島に旅行をして、お母さんに卵焼きの作り方を習う。

やりたい事、やるべき事がたくさんあり過ぎて平凡も悪くないとか考える。


「ぼんやりとしてたら遅刻するぞ。」


お父さんの一言で私もお母さんも慌て出す。

卒業式は9時からで8時半までに行けば良いし、涼ちゃんが車で送ってくれるからといつもよりも朝ご飯に少し余裕を持ちすぎた。


「涼ちゃん、急いで…。」

「バスよりも早いから余裕で間に合うって…。」

「学校では私に抱きつくのは禁止だからね。」

「マジかよ!?」

「当たり前でしょ!」


TPOという言葉を少しは理解して欲しい。


「何の為にわざわざ理梨の学校に行くんだよ。」


膨れっ面になる涼ちゃん…。


「タダでさえ目立つんだから…、大人しくしてて。」

「了解…。」


膨れっ面のままでも私の望みは聞いてくれる。


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