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第28章 卒業…



学校の近くにある駐車場に車を停めると段々と自分の中に緊張感が増して来る。


「ごめん…、先に行ってもいい?」


涼ちゃんが不思議そうに私を見る。


「一緒に行けばいいじゃん?」

「私だけ教室に一度行かなきゃいけないし…、なんか緊張して来たから…、お母さん達と涼ちゃんは講堂に行っててよ。」


一方的にそう言って私だけが駆け出していた。


「理梨っ!」


涼ちゃんがそう呼ぶけど学校に涼ちゃんと一緒に行くと絶対に騒ぎになりそうで怖かった。

一気に走って教室に入ると少しだけホッとする。


「走って来たの?まだ時間は充分あるよ。」


藤谷さんがそう声を掛けて来る。


「ちょっと…、逃げたくなって…。」

「卒業式から?」

「その来客から…。」

「?」


私の言葉の意味がわからない藤谷さん…。


「おはようございます。」


ギリギリの時間に国分さんがやって来る。


「国分さんがギリギリって珍しいよね?」

「だって…、正門のところが凄い人集りの騒ぎになってて…、なかなか中に入れなかったんだもの。」


国分さんの答えに血の気が引いて青くなっていく自分がわかる。


「まさか…!?」

「あれって…、幸村さんの…。」

「言わないで…。」

「学校には隠したくなる気持ちがわかったわ。凄い騒ぎでシスター達が総動員で出動してたもの…。」


国分さんがクスクスと笑う。


「えーっ?私も見たかったなぁ。」


藤谷さんは興味津々になっている。


「卒業式の来客席に居るから…、多分、見れるよ。卒業式の後はランチに行く約束をしたし…。」


そう言った瞬間だった。


「それって本当ですの?」


またしても咲良ちゃんが私を疑いの目付きで見ながら聞いて来る。


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