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第28章 卒業…



そわそわとする学生が多い卒業式…。

私だけがため息をつく。

私の隣りの席に座っている咲良ちゃんが小声で話し掛けて来る。


「ねぇ…、私も理梨ちゃんと仲違いをしたままの卒業とか嫌だとは思ってるの…。だから理梨ちゃんもパパのランチに一緒に来ればいいじゃない?」


私だって咲良ちゃんと啀み合いを続けたい訳じゃないけれども、誘ってやってるんだという咲良ちゃんの上から目線も気に入らない。


「悪いけど…、行かない。それに涼ちゃんは絶対に行かないはずだよ。」


きっぱりとそう言う私に咲良ちゃんが肩を竦める。

わざわざお父さんに許可を貰った涼ちゃんが私を裏切る事はしないはず…。


「それで…、後悔しなければいいですけど…。」


咲良ちゃんが意地悪に笑った。

後悔なんかしない。

私が涼ちゃんにしてあげられる事は少しでも不愉快な気分にさせない事だけ…。

私までもが気を使って咲良ちゃんとの食事に行こうと言えば涼ちゃんは絶対に悲しむはず…。

私だけが知っている泣き虫の涼ちゃんを泣かさないのが私の役目。

だから子供っぽい恋愛を卒業する。

静香さんのように霧島さんを信じて待つ事の大切さを理解した今は涼ちゃんを信じて私は涼ちゃんとの未来へと進んで行く。

卒業式が無事に終わり保護者や在校生の拍手を浴びながら講堂を出てグランドに集合した。


「やっぱり、今年も花アーチ?」


国分さんがクスクスと笑う。


「伝統だからね。」


私も笑って答える。

既に泣いている子もいるけれども私は未来に向けて笑って卒業をすると決めた。

そして、その卒業の最後のセレモニーは花アーチ…。


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