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VERTEX
第29章 傍に居て…
いつからスーツが似合う人になったんだろう?
女の子みたいな綺麗な顔をしている涼ちゃんは高校の制服のブレザーが凄く似合わなかった。
その後も髪に金のメッシュを入れて派手に染めたりしたから、かっちりとしたスーツを着るとなんだか違和感ばかりを感じたのに…。
今、穏やかな顔で私を見る涼ちゃんだとスーツ姿でも違和感を感じない。
ゆっくりと涼ちゃんのスーツのジャケットを脱がせてネクタイを外す。
綺麗な顔の下に意外とがっちりとした太い首が見えて来る。
痩せて見えるのに、肩と胸と背中には筋肉の筋がくっきりと出るくらいに盛り上がっている。
そんな涼ちゃんに比べると私は本当に貧弱でみっともない身体をしている。
「私もジムに行って鍛えようかな?」
涼ちゃんの肩の筋肉を撫でて聞いてみる。
「それは反対する。理梨は柔らかい身体なんだからガチガチに筋肉で硬めたら可愛くない。」
そう言って涼ちゃんが私の胸を撫でるようにして揉んで来る。
綺麗な指…。
大きな手…。
すっかり男の人になった涼ちゃんの手に翻弄されたみたいに感じさせられる。
「くはっ…。」
「乳首…、感じる?」
涼ちゃんの指先で転がされる乳首が痛いほどに硬くなり、全身にじわじわと快感の波紋が広がった。
「理梨…、愛してる。」
私の顔中にキスをして涼ちゃんが囁く。
「傍に…、居て…。遠くに行かないで…。」
初めて自分の本音が言える。
「理梨の傍に居るぞ?」
「でも…、涼ちゃんが遠く感じるの…。だって…、VERTEXの頂点って凄い人になっちゃったから…。凡人の私とは違う世界の人だよ…。」
「そんな事ない。俺の世界は全部、理梨の為だ。理梨が居ない世界に俺は存在しない。理梨を感じない世界なら俺はそんな場所に居たくない。」
私の髪を撫でて私を確認するように涼ちゃんが私の顔を覗き込む。