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第29章 傍に居て…



「ねぇ…、大丈夫?」


家に入る前に涼ちゃんに何度も確認をする。


「大丈夫だよ。」


涼ちゃんがクスクスと笑っている。

制服のまま涼ちゃんに抱かれたからスカートの皺が気になって仕方がない。

髪は涼ちゃんが編み直してくれた。

家ではおじいちゃん達や温子さん達が私を待ってくれている。

涼ちゃんとの関係が見えちゃうのは今更なんだろうとは思うけど、そういう部分を見せるのは、なんとなく抵抗がある。


「ほら、皆んなが待ってるぞ。」


涼ちゃんが私の背中を押して家の中へと促した。


「「「おかえり!」」」


何故か我が家の茶の間は有り得ない人で犇めいてる。


「嘘っ!?」


霧島さんや静香さん、ミケに勇気君までが居る。


「卒業おめでとう。」


静香さんが私に花束とプレゼントをくれる。


「静香さん達が来る事まで聞いてないよ!」


お母さんに向かって叫んでた。


「静香さんと勝利君の退院祝いもするのよ。だから涼ちゃんに準備をする間は理梨を連れ出して欲しいって言ってあったの。」


しれっと答えるお母さんに呆れてしまう。


「ハイ、理梨…。おめでとうございます。」


ミケが私の背後から頬にキスをする。


「殴るよ…。ミケさん…。」


涼ちゃんが殺気立つ。


「これは挨拶。リング以外の暴力は犯罪ですよ?」

「マジにミケさんだけは倒す。」

「なら…、僕が勝ったら理梨を下さいね。」

「絶対に負けねぇよ。」


ミケと涼ちゃんが本気か冗談かわからない会話をする中で望ちゃんが私の前にやって来る。


「おめ…。」


そこだけを言うと泣きそうな顔をする望ちゃん。


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