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VERTEX
第30章 星に願いを…

「それでも…、戦うんだよね?」
「うん…、俺もミケさんもファイターだから…。お互いが戦いたくてウズウズしてる。理梨には悪いけど、理梨の事は戦う為の言い訳になっている。」
「私は景品!?」
「景品じゃなくて、お姫様を奪い合う戦いをするのがファイターの役目って考えろよ。」
「涼ちゃんが勝つよね?」
「負けねぇよ。」
涼ちゃんの唇が私の唇に重なる。
勝つ前にキスを奪うのって反則じゃない?
そんな事を考えてると…。
「いつまで、うちの玄関でイチャついてるの?」
台所の方からお母さんの声がする。
私と涼ちゃんが玄関でぐずぐずとしているから買い物に出掛けられないらしい。
「行ってきます!」
お母さんにそう叫んで涼ちゃんとジムに向かう。
ジムに着くと涼ちゃんはともかく私は驚きを隠せずに目を見張る事になる。
「咲良ちゃん…。」
ジムでは既にミケが準備運動を始めている。
そのミケに寄り添うように咲良ちゃんと咲良ちゃんのお父さんが和美さんと並んで立っている。
「久しぶりね。理梨ちゃん…。」
お嬢様らしい笑顔を咲良ちゃんが私に向けた。
「見に来たの?」
「言ったでしょ?Gグループが求めてるのはVERTEXの頂点になる人だと…。今日はこのジムで本当の頂点が決まるからと招待をされましたの。」
「招待…?」
「ええ、VERTEXからの特別招待ですわ。」
リングの向こう側で会長さんが嫌な顔をしているのがわかる。
和美さんが勝手に呼んだのだ。
ミケが涼ちゃんに勝てばVERTEXの頂点はあっという間にミケに代わる。
その確認を筆頭スポンサーであるGグループにさせればGグループは涼ちゃんではなくミケをCMに使うと決定する。

