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第30章 星に願いを…



満身創痍の身体で涼ちゃんがリングへ向かう。

その背中に向かって思わず叫んでしまう。


「タオルなんか入れないからね!負けたら許さないんだからっ!」


涼ちゃんが私に背を向けたままグローブを付けた右腕を天井に向かって突き上げる。

勝利宣言…。


「Mr.RYOJIが自動車会社のCMに出ると聞いたから顔は狙ってないだけですよ?」


ミケが涼ちゃんの為に手加減をしてやってるのだと涼ちゃんの勝利宣言に口を尖らせて嫌な顔をする。

涼ちゃんは黙ったままミケにファイティングポーズで構える。

3R開始…。

ミケがゆらりと身体を揺らしてフリッカーパンチを繰り出し始める。

涼ちゃんは出来るだけ肘でガードをして、そのパンチに耐えている。

このまま3Rが終われば涼ちゃんの判定負けになるだけだと思う。

それでも涼ちゃんがニヤニヤと笑い、ミケが少しムキになってパンチを繰り出してるように見えた。

今のところ、ガードでミケのパンチは当たってない。

涼ちゃんの肘の辺りだけが少し赤みが帯びて来た程度で涼ちゃんにダメージはない。


「ならば…。」


ミケのパンチがボディーではなく涼ちゃんの顔に向かって方向を変えた。


「貰ったっ!」


篠原さんがそう叫ぶ。

同時に涼ちゃんの腕がミケの空いた身体に絡みつくと横投げをしたようにリングにミケを叩きつける。


「シュートっ!」


レフリー役の会長さんが高く突き上げた人差し指を立てて、そう叫ぶ。

その次の瞬間には涼ちゃんの足がミケの顎と胴体に乗り長いミケの腕を涼ちゃんが抱きかかえる。


「ぐはっ…!」


ミケが目を見開いて叫んでいた。


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