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VERTEX
第30章 星に願いを…

「決まったな…。」
篠原さんがクスクスと笑う。
「何…、あれ…?」
涼しい顔で涼ちゃんがミケの腕を抱いている。
なのにミケが苦痛の表情で叫び声を上げている。
「腕挫十字固めという柔術の関節技だ。」
篠原さんがクスクスと笑って唖然とする私に答える。
「ギブ?」
涼ちゃんがミケに聞いている。
「ギブっ!」
ミケがそう叫ぶと涼ちゃんがゆっくりと焦らすようにミケの腕を離した。
「涼二の勝ちだ…。」
会長さんが和美さんに向かって強く言う。
「あんな勝ち方って…、おかしくないんですか?」
咲良ちゃんだけが納得のいかない顔で和美さんに聞いている。
「この際だから…、はっきりとさせておく。」
涼ちゃんが客席に向かって話をする。
「皆んな…、勘違いをしてるけど…、VERTEXの頂点は今も霧島さんのはずなんだ。それは広報の桂木さんが一番良く知ってるんだよな?」
涼ちゃんが和美さんを睨みながら聞く。
「涼ちゃん…、どういう事?」
リングに上がって涼ちゃんに詰め寄った。
「レジェンドになった霧島さんは今年から人気投票に入ってないんだ。だけど、もしも霧島さんが今まで通りに人気投票に入ってたら、俺もミケさんも霧島さんの人気には程遠いはずなんだ。」
「そんなに差があるの?」
「あるよ。VERTEXはその部分をスポンサーに伏せて、俺とミケさんにスポンサー争いで競わせようとしている。けど、単純にスポンサーがCM効果を得たいと思うのならVERTEXで本来の一番人気である霧島さんを出演させるべきなんだ。」
涼ちゃんの言葉に今度は和美さんが嫌な顔をする。

