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VERTEX
第30章 星に願いを…

「えっ!?何?なんか変か?」
「ファイターを頑張るのはいいけど、怪我とかしたら離婚するからね。」
冗談で涼ちゃんが怪我をしないようにと叱る。
「嘘っ!?離婚とか…、勘弁して下さい。」
ミケがクスクスと笑う。
「離婚の時には必ず連絡を下さいね。」
私の手の甲にキスをしてミケがそう言うと涼ちゃんがミケを睨みつける。
「だから…、人の女に手をだすなってVERTEXから言われてるだろ?」
「日本人は独占欲が強すぎます。」
「ミケさんが軽過ぎんだよ。」
笑いながら、さっきまで戦っていたファイター達が笑っている。
そこに私は入れない。
だけど私はそんなファイター達を応援し続けたいと願ってしまう。
「オラオラ…、涼二もミケもいつまでもサボってねぇで、さっさと2人でロードに行きやがれ!」
会長さんがハリセンを振り回して叫んでいる。
慌ててグローブを外した2人がジムから飛び出して行くと霧島さんが私を呼ぶ。
「セコンド…、頼むよ。」
「はいっ!」
霧島さんが練習のミット打ちの為に会長さんとリングに上がる。
「そろそろ、部外者はジムから出て行ってくれ!」
会長さんはまだぐずぐずと残っている咲良ちゃんや和美さんに向かってそう叫ぶ。
私はこのジムから追い出される事はない。
私の家族…。
このジムにはそう思える人がたくさん居る。
涼ちゃんが居たから人見知りをする私にたくさんの家族が出来たのだと思う。
ミット打ちをする霧島さんを見ていると、まだまだ戦える霧島さんを感じる。
VERTEXの頂点は今も霧島さんで、その霧島さんを涼ちゃんとミケは必死に追いかけている。

