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VERTEX
第1章 行かないで…
霧島 恭弥(きょうや)さん…。
まだ20歳になったばかりでプロデビュー2年目のファイターだ。
既に雑誌モデルなどの副業をやっている霧島さんには固定ファンが付いている。
今日はその霧島さんの最後の地方巡業…。
メジャーであるVERTEXに移籍する前の最後の試合だからファンが集まりちょっとした派手なイベントになっているのは事実。
VERTEXに移籍と言ってもシュートボクシングの所属ジムが変わる訳じゃない。
ただVERTEXからのプロデュースとマネージメントを受ける事になり、今まで以上のファイトマネーを稼ぐ事が可能になる。
付随してバラエティーなどのテレビ出演の仕事も貰えるようになるからタレントプロダクションに所属する感覚に近いと霧島さんが言っていた。
そんな霧島さんの試合は本日のメインイベント。
まずはメインイベントの前座として行われた『高校生頂点』というトーナメントの決勝戦に私はずっとイライラとしていた。
その名の通り高校生クラスのトップを決めるというイベント…。
今回の興行に参加したジムは4つ…。
4つのジムから所属する高校生6人がトーナメント戦を行いチャンピオンを目指した。
そして霧島さんが所属するジム代表で出た高校生の男の子が今回のチャンピオンになった。
本田 涼二(りょうじ)…、18歳。
RYOJIの名でこのプロのリングに上がって丁度1年が経つ。
学生はなかなかプロのリングには上がれないけど涼ちゃんはもう普通の学生試合では誰も相手に出来ないレベルになっている。
それが私の幼なじみ…。
私が一番イライラとする男。
私…。
幸村 理梨(りな)…16歳。
格闘なんか全くと言っていいほどに興味がないのに涼ちゃんのせいで毎回、格闘の試合を見る羽目になるという不幸な女の子。