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VERTEX
第5章 部外者…
涼ちゃんとは違うボクシングをする男の子の戦い方を少し観てみたいとか初めて考える。
しばらくすると照明が消えて中央舞台からの花道に選手が上がって来てリングへと向かって来る。
涼ちゃんへの挑戦者。
トーナメントとはいえ涼ちゃんは去年のチャンピオンだから、このトーナメントで負けない限り対戦者は全て挑戦者扱いになる。
涼ちゃんよりも背が低く、ガッチリ型の挑戦者。
インファイターならタフで投げ技や絞め技を得意とする人が多いから涼ちゃんが苦手なタイプかもしれないと心配になる。
興奮をしていた分、涼ちゃんのスタミナがどれだけあるのかが問題になる。
タフな人は打たれ強いから倒すのに時間がかかる可能性が出る。
3分3Rをフルに戦うスタミナが涼ちゃんに残っている事をひたすら祈ると涼ちゃんのテーマソングが聞こえて来る。
ゆっくりと貫禄を見せて花道からリングへと上がって行く。
負けたら絶対に許さない。
その気持ちだけが強くなる。
今までなら例え涼ちゃんの試合でも格闘はあまり観たくないとか思っていた。
今はチャンピオンになって貰わないと結婚が出来ないじゃないとか思うから、とにかくこんな最初の試合で負けてもらっちゃ話にならない。
手を合わせて祈るようにリングを見る。
涼ちゃんは落ち着いてて観客に拳を見せてアピールをしている。
レフリーが試合開始の合図を送る。
ゴングが鳴り、始まった瞬間に相手が涼ちゃんに突進する。
やはりインファイターだ。
涼ちゃんが自分の距離を取る前に至近距離まで涼ちゃんに接近して涼ちゃんに攻撃する隙を与えない作戦だとわかる。
相手の距離に捕まれば涼ちゃんがフリになる。
ただでさえ涼ちゃんのスタミナはギリギリだと思う。