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第5章 部外者…



国崎さんがニヤニヤとして私を見ている。

ジムの時の仕返しだと感じる。

あの時は国崎さんが部外者として外に出された。

今夜は私が部外者として外に出される番。


「一緒に外で待とうか?」


静香さんが優しく聞いてくれる。


「1人で行きます。駐車場のジムのバスのところに行けば大丈夫ですよね?」


ジムのマイクロバスが関係者用の駐車場に停めてあるからそこに行けば静香さん達とはぐれる事はない。

私が方向音痴なのはジムの誰もが知っているから静香さんが心配をする。

妊娠中の静香さんを外で待たせるなんて出来ない。

静香さんに大丈夫と言おうとする前にその言葉はスタッフの人の言葉に遮られる。


「悪いけど…、早く出てくれる?」


テレビスタッフの人が私の腕を掴んだ。

未成年が居たと問題になる事を避ける為にスタッフの人も必死なのが伝わって来る。

犯罪者を連行するように私の腕を強く握るスタッフさんが出口へと私を促した。

その痛みに顔が歪む。


「勝手に拐うな。」


そんな声がする。

スタッフさんと私が振り返ると涼ちゃんがスタッフさんから私の腕を取り上げる。


「涼ちゃん…。」

「RYOJIさんの関係者ですか?」


スタッフさんが確認をする。

涼ちゃんは答えずに私の肩を抱いて出口に向かう。


「涼ちゃん…、挨拶が…。」

「もう終わった。後は会長に任せる。」


何故か不機嫌な涼ちゃん…。

そのまま会場を出て裏口からアリーナを出た。

裏口からすぐに関係者用の駐車場が見えて来る。


「俺の車の鍵、篠原さんが持ってるんだった。」


涼ちゃんが情けない声を出す。

その言葉に私は驚愕する。


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