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VERTEX
第6章 見ないで…



スカイツリーに行って展望台に上がる。


「うちはどっち?」

「あっちだな。」

「あんまり見えないね?」

「見えるほどの大豪邸じゃないだろ?」


田舎のサラリーマンの子供2人が笑う。

水族館に行きペンギンを見る。


「可愛い!」

「だから、俺以外を見るな。」


涼ちゃんが私の目に手を被せて来る。

ペンギンにヤキモチを妬く犬男に笑っちゃう。

時々、チラチラと人が見てる。

夕べ、テレビ放映されたばかりだから多分こうなるとはわかっていた。

水族館を出てご飯を食べに行こうとすると男の人が寄って来る。


「RYOJIさん…、ですよね?写真を撮ってもいいですか?」


始まったと思う。

1人が来れば蟻のように人が集まって来る。


「すみません、サインを…。」


簡単に人集りになってしまう。


「申し訳ないけど…、写真やサインはVERTEXから禁止されてますから…、今はプライベートなので道を開けて下さい。」


涼ちゃんが私の肩を抱いてキッパリと断った。

一応、諦める人が道を開けてくれる。


「態度が悪いって言われたりしない?」


やんわりと断らないとネットの書き込みで文句を言う人も居る。


「事実を言ったまでだ。VERTEXが禁止している以上、俺は何も出来ない。VERTEXが俺を利用するつもりなら俺もVERTEXを利用する。」


VERTEXに対する話をするとすぐに涼ちゃんが不機嫌になる。

きっと、また嫌な仕事を言われたのだと感じた。

それと同時にさっきの騒ぎで私の存在とかも言われたらどうしようと考える。

うちの学校は恋愛禁止の学校だし…。

うーん…、近所のお兄さんと遊びに行っただけですで誤魔化せるかしら?

私の方の悩みなんてその程度…。

カメラに追いかけ回されるのは涼ちゃんだけ…。


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