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VERTEX
第1章 行かないで…

現在の国内最強と言われる霧島さん…。
霧島さんの階級なら外国人選手がかなり居る。
その選手達と戦って世界最強を目指す為のVERTEX参戦を決意した。
「客席に行くぞ。」
涼ちゃんが私の手を握って控え室を出る。
客席に戻るなり涼ちゃんに向かって3人の派手目な女の人が集まって来る。
「サイン貰えますか?」
いつもの事…。
明らかに20歳を過ぎた茶髪のイケイケお姉さん達。
霧島さんのファンだけど今のうちに強くて若い選手に目を付ける。
「すみません、霧島さんの試合が始まりますから。」
礼儀正しく涼ちゃんが断る。
私が席に座ると当たり前のように隣りに座って私の肩を引き寄せる。
「俺…、そんなにカッコ悪かったか?」
私の髪に鼻を埋めて聞いて来る。
「霧島さんの試合が始まるよ。」
私がそう言い返すとアリーナの照明が落とされて派手な音楽が流れ出した。
まずは挑戦者側の入場。
霧島さんには2度も負けている挑戦者だから当て馬のように言われている選手。
それでもランキング2位だから霧島さんに挑戦出来る人はこの選手くらいしかいない。
挑戦者もVERTEX入りが決定した霧島さんに一矢を報いる事が出来ればビッグファイトのチャンスが来る可能性があるから必死だ。
挑戦者がスポットライトを浴びながら自分のテーマソングに合わせてリングに上がる。
ファイティングポーズで軽くジャブを繰り出すパフォーマンスを観客に見せる。
また照明が落ちると曲が変わる。
どこかで聴き覚えのあるテーマソングに合わせて霧島さんが入場する。
VERTEXでは自分の好きな音楽に変わる。
今はチャンピオンなんだからと会長さんの好みで古臭いロック音楽…。
昔、ウェルター級チャンピオンだった会長さんが使っていたという曲…。
今は太ってダルマみたいな体型を揺すりながら霧島さんのセコンドとして付き添っている。

