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第8章 したい…



涼ちゃんが私を抱きしめる。


「何…、言われた?」

「言われてない。私が涼ちゃんだけは渡さないって言っただけ…。」


涼ちゃんがふふふと笑う。


「なんか、おかしい?」

「理梨は強いな。」


頬にキスをする。

強くないよ。

でも強くならないと涼ちゃんを誰かに取られちゃう気がするから強くなりたいと思う。


「飯に行こう。」


涼ちゃんが私の手を引っ張る。

海岸から少し行った先の焼肉屋さんに入って夕食を食べる。

涼ちゃんは脂肪分が少ないお肉を少しだけ食べる。

私は普通に夕食を食べる。


「アイスも食べたい。」

「一口くれよ。」


私が欲しいものは何でもくれる。

だからアイスを涼ちゃんに一口だけあげる。

焼肉屋さんを出たら真っ暗になっている。


「涼ちゃん…、もっかい海岸に行こう。」


さっきの海岸に涼ちゃんと戻る。

そこに広がるのは天然のプラネタリウム…。


「まさに絶景…。」


涼ちゃんと2人で空を見上げる。

宇宙空間に2人だけが投げ出された気分になる大パノラマの星空。

タクシーの運転手さんがこれだけは見逃しちゃいけないと教えてくれた夜空に吸い込まれそうになる。


「明日、帰るのが勿体ないね?」

「明日は帰らない。他の人達は帰るけど俺と理梨の飛行機はキャンセルした。」

「嘘っ!?」

「理梨の家にも連絡してある。おばさんからはお肉よろしくって理梨に伝えてくれって言われた。」


撮影の合間に涼ちゃんが電話をしていたのは、うちのお母さんだと理解をする。


「ユーグレナモールに行きたいって言ってたろ?」

「お母さんのお肉買って帰る。」

「うちの分も買うから買ってやるよ。」


涼ちゃんがキスしてくれる。

結婚式の予行演習は国崎さんに取られたけど、私だけの思い出を涼ちゃんがくれた。


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