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第1章 宴会場

その時だった。
葛西がこっちをちらっと見た。
見ながら百合子にビールを勧めている。
百合子は、はにかみながら素直にコップを差し出した。
葛西の手が時折、百合子の肩に乗せられる。
百合子は嫌がる様子は見せない。
ちっ……俺はかすかに舌打ちした。
俺は股の上に置いたコップに残っていたビールを一気に飲み干した。
濡れた唇をぬぐった。
下半身の勃起は少し収まっていた。
俺は葛西を睨んだ。
気付いた葛西は一瞬微笑むと、俺に片目をつむって見せた。
そして、百合子の耳に口を寄せると、何事か話した。
その後、小さな紙切れを百合子に渡した。
百合子はためらいもなく受け取ると「なに？」と言う表情を葛西に見せた。
葛西は百合子にも片目をつむると、百合子のまた肩を叩き、立ち上がり大広間を出て言った。
俺はコップを置くと葛西の後を追った。