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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第2章 中編
「少しは落ち着かれたら如何ですか」
「…っるせえ」

女が自害すると侍女に言われた、「明日」になりました。
夜が明け、日が高くなり、昼日中を越えて、早くも暮れかかって参りました。
男は昨夜は殆ど一睡も出来ずに悶々と過ごしました。今日は家令に普通に仕事をするように諭されて、半分上の空で渋々仕事を熟しておりました。
もっとも、仕事の内の一つは友人でもある領主の息子に会うことで、可愛い盛りの上の子が自分に似て来ただの、二人目の子を身籠もっている奥方は調子は悪くないが食べられる物が限られていて心配だのといった惚気半分の話に、適当に相槌を打っていれば済みました。

「そうご心配なさらずに。私は嘘は申しません。お引き受けした事は果たします。果たせない事でしたら、端からお引き受け致しません」
「…そうは言うが、お前、ずっとここに居たじゃねぇかよ」
家令は昨日男に、妙案では有るものの想像するだに恐ろしい事を提案して来ました。男はそれを止む無く了承したのですが、その提案はこの屋敷に籠もっていては実行出来ない事である筈でした。

「御当主様。私はこの家に仕える者で御座います。この家を離れる事は、御座いません。…外の仕事をする者は、私で有って私で無いので御座います」
家令はそう言うと男の前にお茶のカップを置きました。男は無表情に一口飲むと、お茶に使われた果物の種類と配合についての分析と改善する為の提案を、すらすらと口に出しました。家令はそれを黙って聞いて、明日の配合の案も含めて全てを記憶の棚に仕舞いました。
時期にもよりますが、この家の当主にとっては何かを口にする事も家業の内でありました。

「…まあ、今となってはお前を信じるしか無ぇんだがな…」
今更家令を疑っても、今から出来る事など何も無いでしょう。男はお茶を半分飲み残して、苦く溜め息を吐きました。

その時ふいに男の耳に、何か物音が聞こえました。
そして直ちに、外から叩かれる事も無く、きいっと扉が開きました。

「…何っ!?」
「え?!」

開いた扉の向こうに居たのは、待ち焦がれていた女と、その侍女でした。
「扉を閉めます。こちらにお入りくださいませ」
男と女、侍女が呆然と見詰め合っている所に、家令のてきぱきとした実際的な指示が飛びました。
女と侍女は促されて室内に入り、扉は家令の手によって閉められて、かちりと鍵がかけられました。
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