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姫巫女さまの夜伽噺
第1章 まよいまやかしその先に
「志摩、これはもしかすると
もしかするかも。さっそく運ぼう」
「は⁉︎ 何考えてんだ? こいつ、人間だぞ?」
青年が少し興奮して
後ろの男に話しかけた。
愛蘭はその男たちを見て
ああ、ついに死んだんだと思って笑った。
青年はまるで天使のように美しく
闇夜でもわかる真っ赤な瞳に
白い肌はきめ細やかで人形のようだ。
着物をゆるりと美しく着こなし
唐傘をさしてたたずむ姿は
この世のものとは思えない。
別の男は青年より少しばかり背が高く
立派な白い獣の耳と、五つの尾っぽが生えていた。
頬には逆三角形の紅い隈取りが美しく
黄金色の瞳に、青白い炎を何個も身にまとい
神社にいる人が着るような狩衣姿で愛蘭を見つめていた。
「穂高(ほだか)、こいつ、笑ってるぞ」
狐のような男が眉根をしかめた。
愛蘭はなぜかホッとして
泣き笑いをする。
「…私、やっと死ねたんだ…。
やっと…。嬉しい…。
もうどうなってもいい…」
青年が伸ばした手が触れた途端
愛蘭は意識を失った。
もしかするかも。さっそく運ぼう」
「は⁉︎ 何考えてんだ? こいつ、人間だぞ?」
青年が少し興奮して
後ろの男に話しかけた。
愛蘭はその男たちを見て
ああ、ついに死んだんだと思って笑った。
青年はまるで天使のように美しく
闇夜でもわかる真っ赤な瞳に
白い肌はきめ細やかで人形のようだ。
着物をゆるりと美しく着こなし
唐傘をさしてたたずむ姿は
この世のものとは思えない。
別の男は青年より少しばかり背が高く
立派な白い獣の耳と、五つの尾っぽが生えていた。
頬には逆三角形の紅い隈取りが美しく
黄金色の瞳に、青白い炎を何個も身にまとい
神社にいる人が着るような狩衣姿で愛蘭を見つめていた。
「穂高(ほだか)、こいつ、笑ってるぞ」
狐のような男が眉根をしかめた。
愛蘭はなぜかホッとして
泣き笑いをする。
「…私、やっと死ねたんだ…。
やっと…。嬉しい…。
もうどうなってもいい…」
青年が伸ばした手が触れた途端
愛蘭は意識を失った。