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姫巫女さまの夜伽噺
第1章 まよいまやかしその先に
痛みをこらえて立ち上がり
またもや滑って転んでを繰り返すうちに
頭の中が真っ白になっていった。


体のどこが痛いのかわからない。
寒すぎて感覚もない。


何度目かの転倒を繰り返した時
愛蘭は意識を失いかけた。


その時。


「おや、何の音かと思えば…」


その声に意識が戻り
霞む視界を開けると
提灯の明かりが見えた。


「志摩(しま)、この子はもしや…」


「…まぁ、見るからに」


ぼんやりとした視界の端に
きれいな顔をした青年が入った。
その青年の持つ提灯の明かりが
いやに温かくしみる。


「生きてるね?」


優しい口調と共に
青年が手を伸ばして愛蘭の頬にかかった髪の毛を払った。
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