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姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
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「寝付くまで側にいて…お願い」
部屋に戻ると
いつの間にやら布団も何もかもが綺麗になっていた。
志摩が式を使って片付けたのだ。
先ほどまで犯され尽くしていたのが嘘のように
部屋はいつも通り美しく
そして布団はまっさらだった。
あのおどろおどろしい縄女も
優しい顔をした悪魔の様な穂高もいない。
癒された傷の好転反応か
体はポカポカとして眠いのに
一人でいたくない不安な気持ちが強くて
伊良は志摩の袖を強く引っ張った。
部屋には式が気を使ったのか香が焚かれていて
その香りが心地よい。
ホッとしたのか
伊良は顔色も良くなり
志摩に抱かれたままおとなしくしていた。
「不安か?」
「うん。起きて、目を開けた時にいるのが志摩じゃなかったらとか思うと…」
志摩が布団に寝かせようとしたのだが
まるで幼子のように伊良が志摩の着物の裾を離さなかった。
「…ねぇ、お願い志摩…」
そんな顔をされると志摩も困ってしまう。
あの生々しい傷と
終わった後の放置された伊良の目が
脳裏にこびりついて離れない。
不安とも焦りともつかない感情に
志摩の方が負けた。
これから宿の支度があるのだが
寝付くまでならと渋々承知した。