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姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
「志摩…怖いから側にいて…」
穂高にされた事を思い出し
そしてその行為の後を見られた恥ずかしさに
かなり恥じらいながら
伊良は志摩の裾をぎゅっと握る。
「起きたらまた、私は穂高にああいう事されるんでしょ?
しなきゃいけない事なんだよね?
だったら我慢するから、今だけそばにいて?」
「今日からは、穂高が躾けの番だが…。
愛蘭、明日も俺がこうやって来るとは分からないんだぞ。
今からこんな甘えたしてどうすんだよ」
姫巫女としてしなくてはいけない事。
だからといって
こんなやり方は酷いと志摩は眉根を寄せた。
体を男に慣らすのも大事なのだが
それ以上に贄としての自覚を持たせる事が大事なのだ。
贄として生まれ変わり
妖と神々に奉仕する喜びを持たなければ
贄は何の意味も持たない。
穂高のやり方では、自覚を持つどころか
快楽に溺れるか屈服する奴隷になってしまうか
伊良の心が壊れて
意味もなくただただ犯されるだけの人形になりかねない。
「……志摩とする方がいい…」
ぽつりと本音が出て
伊良は目をつぶった。
そして、なぜか涙が溢れた。
「…穂高がしている時は、穂高の許可がなければ俺は立ち入らない。
終わったら入るか、初めから居るかだ。
愛蘭、お前が望むなら側にいてやりたいが
…俺も宿の仕事がある…。
だが、きちんと躾けさえ終われば、
お前が客を取った時俺はずっと側にいる事ができる」
「ほんと?」
伊良の顔がぱっと明るくなった。
そのあまりにも無邪気な伊良の顔に
志摩は罪悪感が芽生えて目をそらす。
「…なるべく明日も来てやる。早く寝ろ」
額に口づけを落とすと
安心したのかやっと伊良は目をつぶり
程なくして寝息を立て始めた。