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姫巫女さまの夜伽噺
第2章 目覚めし巫女
愛蘭が眼を覚ますと
そこはなんとも心地よい布団の上だった。


「え…。私…」


(死んだんじゃ…?)


まさか病院、と思って
とっさに身を起こすと
全身に激痛が走って悲鳴さえ出ずに
動きを止めた。


「お前阿呆(あほう)か。
その傷で動いたら痛いに決まってるだろ」


見れば、あの鴨の耳をした男が
黄金色の瞳で見返してきた。
その口元から、こっそり牙が覗く。


「誰…?」


夢なのかなんなのか
愛蘭は訳が分からずに眼を白黒させる。


「開口一番それかよ。
助けてやったお礼とか無いのか?」


その男の口調に愛蘭は
全身の痛みに耐えながらも睨みつけた。


誰が助けてなんて言ったか。
その思いが通じたのか
男が眼を細める。
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