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姫巫女さまの夜伽噺
第9章 穂高と志摩
「うーん、あんまりうまく言えないけれど
私がいることで、この宿がもう少し良くなるなら
私は、もう少し頑張ってみたいから、かな。
自分の可能性とか、まだ見ていないものを
せっかく見れるのかもしれないから…もう少しだけいたいの。
生まれ変わったって言ってくれたじゃない?
生まれ変わった実感なんて全くないけど
みんなが必要としてくれてるなら、必要とされているところで生きてみたい。
今まで、ゴミみたいに扱われていたから
少しくらい、必要とされる贅沢を味わったっていいでしょ?
……だめ、かな…?」
伊良は穂高の真っ黒の瞳を見つめた。
烏の濡れ羽色の髪の毛にも似た、漆黒の瞳。
しかし、宝石のように透明でキラキラしている。
それは、穂高の心のようにも思えた。
「…君が、それでいいのなら…」
なぜか穂高はホッとした顔をして
そのまま伊良を抱きしめると深く深呼吸する。
「伊良、このまま、もう少し…」
「うん、いいよ」
そうして穂高は、何百年ぶりかに、人として眠りについた。
私がいることで、この宿がもう少し良くなるなら
私は、もう少し頑張ってみたいから、かな。
自分の可能性とか、まだ見ていないものを
せっかく見れるのかもしれないから…もう少しだけいたいの。
生まれ変わったって言ってくれたじゃない?
生まれ変わった実感なんて全くないけど
みんなが必要としてくれてるなら、必要とされているところで生きてみたい。
今まで、ゴミみたいに扱われていたから
少しくらい、必要とされる贅沢を味わったっていいでしょ?
……だめ、かな…?」
伊良は穂高の真っ黒の瞳を見つめた。
烏の濡れ羽色の髪の毛にも似た、漆黒の瞳。
しかし、宝石のように透明でキラキラしている。
それは、穂高の心のようにも思えた。
「…君が、それでいいのなら…」
なぜか穂高はホッとした顔をして
そのまま伊良を抱きしめると深く深呼吸する。
「伊良、このまま、もう少し…」
「うん、いいよ」
そうして穂高は、何百年ぶりかに、人として眠りについた。