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姫巫女さまの夜伽噺
第5章 調教ー穂高ー
志摩の「躾け」という名の調教は
それから毎日行われた。


空が明るみ始める頃に
仕事を終えたであろう志摩が顔を出し
湯船で散々乱れさせられた後で
部屋に戻ってまた犯される。


一体何度壊れそうになったか
伊良は分からなかった。


体は馴染み、志摩に口づけを落とされるだけで
快楽を覚えた体は
下の口から滴る涎を流しながら志摩を欲しがった。


そうなってしまったのが
元々の性質なのか
志摩の呪禁によってなのかは分からない。


しかし、明け方になって志摩に口づけとともに起こされ
甘美な時間が始まるのが伊良にとって苦しくもあり
切なくもあり
心のどこかで楽しみになりつつあった。


志摩はこの宿ではえらい権限を持っている様で
情事の内容を双子は羨ましがってしきりに知りたがる。


美濃においては
「いいなぁ、美濃も志摩様に乱暴されたい」などと
子どもとは思えない発言を繰り返して
伊良の度肝を何度となく抜いた。


「…乱暴っていうか…」



(志摩は、優しい…ものすごく…)



それこそ、志摩が自分のことを好きなのじゃないかと勘違いしたくなるほど
伊良は愛されているかの様な感覚に陥ってしまいそうなほど
志摩はくまなく伊良の体も心も満たした。


事が終われば全身を舐め尽くし
果てた体をいたわっては
抱きしめながら眠った。


短い睡眠で志摩は平気な様で
空がまた夕焼け色に染まる少し前に起きては
伊良と一風呂浴びてから仕事へと出かける。


もう何回、何十回
志摩のその背中を見送ったか分からない。


焦がされる様な感情に胸が痛くなるのは
志摩に好きだからこういうことをしているのか
それともしきたりだからこういう事をしているのかを
未だに聞けないでいるせいだ。



(ねぇ、志摩って他の人を抱く時も、こんな感じなの?)



それが言えずに、伊良の感情はくすぶった。
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