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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第3章 仕込む
 彼女は頭に白いはちまきを巻き、太刀を左右に広げる二刀流。対する自分はいつでも攻撃できるよう、左足を後ろに引き、その足のかかとを上げて体重をつま先に配分する中段の構え。
 野上は、そんなことを考えてしまうとちょっと面白かった。相手は二刀流ではさみ打ちにしようと、生意気な唇で内心ニヤリとしているようなのだ。
 だが、たかが小女である。自分は野上一刀流。小女の背後からではなく、正々堂々と対面の突き一本で、相手を簡単に悶絶できる気がする。
 野上はニヤリとした。相手の戦法を探るように、奈々の太ももにぴたぴたと…上反りの名刀を合わせた。一触即発、いつでもチャレンジしてきなさいと、道場に入門したばかりの弱者に対する余裕の挑発、野上は師範の気分だった。

 奈々は、自分がどれほど恥ずかしい態勢をしているのかそれは分かっていた。彼が近くにきて、太ももに何が触れているのか、その見当もつく。
(もう、期待しているのに、早くして)
 奈々は、花びらを指で広げて後悔した。
 ここに寝てと言われたとき、直ぐにセックスだと思いこみ、自分の部屋で想像しながら行っていたことを、この場で披露してしまったからだ。
 車内にぴたぴたと、ついさっきまで自分が咥えていた、太い肉棒の音が響いている。
 意を決した奈々は、尻をぐっと上げることにした。いつまでもこの格好だと、恥ずかしすぎる。あそこをさらに露わにすれば、すぐに挿入してもらえると思えたからである。
 野上は見ていて、おや? と思った。
 太ももに亀頭を合わせているだけで、奈々の尻が持ち上がり、早く入れてと言わんばかりに花びらを閉じたり開いたり、彼女の両手の指が動く。
 これは目眩まし、幻惑の技なのか──。

 このとき中段に構えた野上に、剣豪宮本武蔵が浮かんだ。同時に、伝説の逸話、武蔵が打ち込んだときに、鍋のふたで彼の刃を受けたという、塚原ト伝も浮かんでくる。
 だがこの妄想は止めようと、野上は悟った。もし奈々の花びらに自分の張りつめた亀頭が挟まれたとき、ト伝と武蔵のワンシーンが重なり、笑ってしまうと思えたのだ。
 亀頭が、花びらの間にぴたっと触れた。
「アンッ」
 と、野上には気合いのように聞こえた。
(ほう、女剣士の気合いは、アンッなのか。しかも真剣白刃取り──)
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