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愛DoLL☆美しき野獣
第8章 八章
その頃、潤は…。
吉祥寺にある木下本邸の地下室で軟禁状態にあった。
自分の父親に、社長職を辞任して親子の縁を切りたいと申し出てたところ、大反対され、今、この状況下に晒されていた。
潤の父親の木下登は現在会長職に就き、影で木下電工グループを仕切っていた。
「頭は冷めたか?この親不孝ものめ!」
鉄格子越しに、登は潤に話しかける。
その風格は、どっしりしていて、白髪交じりの黒髪に和装がとても似合いすぎている。
現在65歳の彼は、昔から一筋縄ではいかない人物であった。
一人息子である潤に多大なる期待を寄せ、敵対する家柄の東堂静との恋愛を禁じ、今まで彼に自由を与えることなど許さなかった。
しかし、彼がイギリスに留学してからというものの、世界を牛耳るジャックスホード財閥の跡取りと、並みならぬ関係を持ち始め、この家を出て、エドワードと二人暮らしを始めてしまった。
相手が東堂家や日本の企業なら、潰す手管もあったが、イギリスの伯爵家の流れを組むジャックスホード、その大きな家柄から、彼にも手が出せずにいた。
せめて¨人形¨を置くことを条件に泣く泣く許した潤とエドワードの同棲生活はもう何年にも及ぶ。
そんな生活をそろそろ潮時にしたいと思った登は、LOVE CONPANYをフル活用して東堂真琴という¨DOLL¨を送り込んだ。
彼女は思いのほか成果を上げてくれた。
こうして再び、この家へ潤を取り戻せた喜びは、彼にとって計り知れないものだった。
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