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愛DoLL☆美しき野獣
第9章 九章
真琴は、たくさんの男の人に囲まれて困っていた。
「だから、メルアド交換してくれるだけで良いんですよ?」
「・・・困ります。」
「じゃあ、この後、どこかに行きませんか?」
「僕と!!」
「いえ私と!!!」
ジャックスホード家の名、恐るべし!!!!
「あの・・兄さまに怒られるので・・。」
ずっと断り続けているのに、全然引こうとしてくれない。
(助けて~!!!兄さま~!!!!)
困り果てたそのとき、男の人の群れを掻き分けるように怒声が鳴り響いた。
「どけ!!!真琴が困ってるだろ!!!!!」
真琴は、はっとする。
この声に聞き覚えがあった。
がっしりとした長身に、黒いサラサラの髪型。
ずっと、会いたいと思っていた人が目の前に現れた。
「・・・潤さん・・。」
真琴は鼻がつんとして、涙が零れそうになる。
両手で口を押さえて、必死で泣くのを堪えてしまう。
そんな真琴の様子を察したのか、周りの男どもは、あっさり引いて行った。
「真琴、遅くなってすまなかった。」
潤は、あまりの彼女の変わり様に照れてまっすぐ前が見れなかった。
思えば自我が目覚めた彼女に会うのは、この時が初めてだった。
「・・潤さん・・本当に潤さんだぁ。」
真琴は確認するように、潤の左手をぎゅうっと握り締めた。
「ほ・・本物だぁ・・。」
見上げて、にっこり笑う。
「・・・お元気そうで良かった・・。」
(真琴は・・・こんなにも綺麗だっただろうか・・。)
潤は照れながらも、真琴をまっすぐ見据えた。
そして真琴の手を引っ張る。
「来い!これからデートするぞ。」
「えっ?でも兄さまが・・・。」
「大丈夫だ、了解は取ってある。」
「本当に?」
「ああ。」
真琴は信じられないという気持ちで、潤の後について行った。
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