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愛DoLL☆美しき野獣
第12章 十二章
潤はその頃、医療ラボに戻り、響の発狂を止めていた。
響は先程より、幾分潤を認識出来るようになり、かなり精神の落ち着きを取り戻していた。
「はぁはぁ…潤さん…ごめんなさい。」
ずっと謝り続ける彼女に、潤は優しい言葉をかけることが出来ない。
まだ、真琴のことが、忘れられないからだった。
彼女の余韻が、まだ身体中に残ってる。
目を閉じれば、真琴への愛おしさがこみ上げてくる。
それでも彼は、一度決めた事を覆すつもりはなかった。
「俺は、もう彼女とは別れた。これからは、お前とお腹の子供を守る、それだけだ。」
「…それは、あなたの幸せにならないじゃないんですか…。」
「俺は、最初から幸せなんぞ求めてない。今はお前が自分との戦いに勝てる事を願ってる。」
「それが今、あなたの望むことなら、僕は頑張ってあなたの子を生みます。」
「ああ、ぜひそうしてくれ。」
「はい、嬉しいです。」
響は、ぱぁっと顔を輝かせ、潤にまた、えくぼを作って笑って見せた。
「僕は、あなたのそばにいていいんですね?」
「・・・・ああ。」
潤が頷くと、響は本当に嬉しそうに笑った。
こうして、これを期に、彼女が発狂することは少なくなった。
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