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愛DoLL☆美しき野獣
第16章 十六章
数ヵ月が過ぎ…。
響は、精神情態が安定して、明日仮退院する予定になった。
妊娠6ヶ月に入り、胎児はやっと安定期に入った。
「響さん、本当によくやってくれた。」
今日は、潤の父親、木下登が、お見舞いに来ていた。
彼は上機嫌で、先程から笑顔が絶えない。
響は、ずっとブスっとしている潤の様子が気になり、登の受け答えに困った。
「でも、まだ無事に赤ちゃんを産んだわけではないので・・。」
「いやぁ、あと一ヶ月、無事に過ごせれば、大丈夫だ。」
「・・はぁ。」
帝王切開なると聞いて、少し怖い。
響は無意識にお腹を擦ってしまった。
それを察したのか、潤が椅子から立ち上がり、登の前に立った。
「親父!!もう帰ってくれ!!」
「なんだ?まだ来たばかりじゃないか?」
「頼むから!!今は、響を安静にさせたい。」
「ははははっ!!わしは嬉しいぞ?夫婦円満なのは、良いことだな?」
「まだ夫婦じゃねぇーよ。」
潤がそう言うと、響は、登を見つめた。
「僕は、潤さんの子を生みますが、籍はまだ入れなくて良いと思うんです。」
「しかし響さん、三条院家は、そう望んではいないはずだよ?」
「お願いします。潤さんには、まだ忘れられない人がいるんです。」
「ああ、あの¨DOLL¨の事か。」
「真琴はもう¨DOLL¨じゃねぇーよ?言い直せ!!」
「東堂の血を引く、女のことなど早く忘れろ!胎教に悪いぞ!!!」
「僕は大丈夫です。潤さんがちゃんと忘れてくれるまで、ずっと待ちますから。」
「そうなれば、響さんは、ずっと¨DOLL¨のままだよ?」
「構いません。」
響の瞳は、潤を真っ直ぐ見つめ、キラキラしていた。
登は、ため息を吐き、椅子から立ち上がり、病室の扉の前に立った。
「勝手にしろ!!!」
捨て台詞を吐いて、彼は病室から出て行った。
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