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愛DoLL☆美しき野獣
第16章 十六章



登が出て行った後、潤は、響の近くの椅子に腰掛けた。


「お前、なんであんなこと言ったんだ?」


「・・・潤さん。」


「俺はお前と籍を入れる覚悟は出来てるぞ?」


「覚悟・・・ですよね?」


「はぁ?」


「不本意な結婚は、してくれなくて結構です。」


「・・・お前、意外とプライド高いんだな?」


「違いますよ。すみません、潤さんの手を握っても大丈夫ですか?」


「ああ。」


響はそっと潤の手を握った。

それは暖かくて大きな手だった。

その手を頬に当て、潤の温もりを確かめた。


「あなたの心は、まだ悲鳴をあげてます。僕は、あなたの本当の笑顔が見たい。」


「・・・響・・お前・・。」


潤が続きを言う前に、響は潤の手を離した。


そして、にっこり笑う。


「明日はようやく退院ですね!!出産まで、潤さんとまた一緒に暮らせて、嬉しいですよ。」


「ああ、家事は一切やらなくていいぞ?家政婦雇うか?それとも、お前だけ吉祥寺に住むか?」


「それに関しては、僕の言い分を聞いてもらっても良いですか?」


「ああ。」


「ずっと僕のそばにいるって。お前は家事でもしてろって。潤さん、前にそう言いましたよね?」


「・・・そうだったな。」


「家事は、任せてください。」


「・・・あんま無理すんなよ?」


「もちろんです!!お腹の子は、大切ですから、潤さんも手伝ってくださいね?」


「・・・・そうきたか?」


「人間、動いて忙しくしていれば、辛いことを考えなくて済みますからね。」


「全く、お前には敵わねぇーよ。」


潤は、ふっと笑った。

響は胸がトクンと、熱くなる。

潤さんが・・初めて笑ってくれた。

・・・すごく嬉しい。

それだけで、とても心が軽くなった。

響は、潤の笑顔がもっといっぱい見たいと、願わずにはいられなかった・・・。
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