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愛DoLL☆美しき野獣
第18章 最終章
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潤はそれから毎日響に会いに行き、残された彼女との時間を有意義に過ごした。
潤の父親、木下登氏は、跡取りの誕生にたいそう喜んでいたが、潤はそんなことは、どうでも良かった。
ただ、響が生んでくれた命を大切にしようと、心に決めていた。
そんなある日。
響の余命はあと数日と宣告された日のことだった。
潤がいつも通り、病室に行くと、何かといつもと違っていた。
響の好きなユリの花が、病室の前の廊下に散らばっている。
明らかに変だった。
そして、扉を開けた。
その瞬間。
すぐ目に飛び込んで来たものは。
床に転がって、心臓をナイフで刺し殺されている、木下登氏と。
ベットの上で、手首を切って大量に血を流している響の姿だった。
そこら中、血の匂いが充満して、気がおかしくなりそうだった。
いや、響はもう、おかしくなっていたのかもしれない。
潤は、とっさにブザーを押そうとするが、響に制される。
「…潤さん…止めて…このまま死なせて。」
まだ息のアル彼女の目は虚ろで、天を仰いでいる。
「自由に…生きて…。」
「しゃべるな!!お前!!!」
「…真琴さんと…幸せにな…て。」
潤は響を強く抱きしめた。
白目を向いて死んでいる父親には目もくれず、響を抱きしめていた。
「…あなたのお役に…立てて…良かった…。」
そういって、響の息は途切れた。
温かかった彼女の身体が徐々に冷たくなっていく。
「俺は、こんなことの為に、お前に生きろって言ったんじゃないんだーーーっ!?」
潤の叫びは、無情にも、彼女には届かなかった。
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